年末に向けての相場展開
アブダビ投資庁の米シティグループへの大型投資が発表になったことで、米国金融機関の信用不安はとりあえず一服、米国株式が大幅な上昇を見せたことで為替市場でもドル買戻しの動きが強まっている。
ドル円は先週序盤に前回の安値である108.99を割り込む場面もあったが、107.00近辺では年末を控えてのポジション調整のドル買戻しや輸入筋のドル買い、またボーナスシーズンを前にして外貨投資の高まりを見越しての本邦機関投資家の外債購入に関わるドル買いなどが散見されたことから、目先のポジション調整のドル買いにドル円は110円台を示現している。
海外の金融機関は日本で言うところの期末にあたる年末に向けてポジションを縮小して新年を迎えることが多いことから11月からクリスマスに向けて大きな値動きを見せる事がある。
問題は市場のポジションがどちらに傾いており、そのヘッジがどこまでなされているかであり、ポジションの傾き具合が高ければ高いほど値幅を伴った相場展開となる可能性が高いと言える。
感謝祭休日の関係で今週になってから発表されたIMMのポジションでは、円買いポジションが増加となっており、市場が既に円買いに傾いているように見えている。
その他の通貨では総じて豪ドル、NZDなどの高金利と言われ買い進まれていた通貨での調整が進んでおり、ロングポジションの大方は既に利食い終わっているのでは、との印象を受けるような数字の発表となっている。
IMMの数字はシカゴマーカンタイルエクスチェンジ内での取引についての発表であり、為替市場の大勢を表したものではない。
また通常は投機的なポジションのみを問うことが多く、実需を伴った為替相場全体のポジションを表すことはかなり難しいと言える。
今回の相場展開の中で8月17日以降115-116円台の戻りの重さを嫌気してドル売りを行った、あるいはドルプットオプションの購入を行った投資家や投機筋が多く存在しており、確かに短期的にはドル円や円クロスでの円ロングが溜まっているように見える。
その為、アブダビ通貨庁による米銀への出資と言った程度の話でもドル買戻しが活発化して110円近くまでのドル上昇につながっている。
今回のサブプライムローン、また欧米金融機関の信用不安についてはかなり根深いものがあり、その証拠に銀行間市場では年末に向けて資金を取りづらくなることを見越して短期的な金利は上昇傾向を見せており、未だに各金融機関は他行に対する信用枠を絞っている状態が継続している。
為替市場への影響は軽微と思われるが、為替取引についても2日間の信用枠を前提とした取引であり、銀行間の取引が細ることによって、マーケットの流動性が薄くなり小さなニュースや大きな取引が入ると値を飛ばしやすくなる状態に近づきつつある。
ここ数年来積み上げた円売りポジションは相当量になっていると思って間違いは無く、今年に入り過剰なまでの円安を見たことからかなりのポジションは利食いが済んでいると言えるものの、総量が大きなことから年末に向けてポジションクローズが進むと思わぬ円高局面を見る可能性も高いと言える。
特に年末の特殊要因のほかにも今年は金融機関同士の信用枠が縮小しており、無駄な取引を嫌がる金融機関が多いと思われる。
薄い市場の中で急いでポジションを閉じる動きが強まることによって投げ売りが投げ売りを呼び込む危険な状態も可能性として検討するべき時期と言える。
米国ドル安放置
米ダウ平均株価の下落に伴い米ドルに対する信任低下が目立っており、ドルを売る動きに歯止めが掛からなくなりつつある。
米国株式は昨年6月を起点とする上昇トレンドを今週、とうとう下方ブレークしており、また週足の雲上限を割り込んで雲の中に突入した状態となっている。
来週13,000ドル台を回復できなければ目先は8/17の安値である12517ドルを目指す展開となり、2002年10月を起点とする支持線がある12,000ドルを目指す展開が考えられる。
ドル円も今週は下げ足を強めており水曜日には109円を割り込んで108円台前半までの下げにつながっており、スイスフランは1995年4月の1.1120を割り込み史上最高値を更新、またユーロドルでも1.48台後半までの高値を見せている。
米国は、強いドルは政策を堅持するといいながらも市場での価格決定を重視していることから、実際には強い態度でのドル安を止めるには至っていない。
米国の貿易赤字はドル安の影響もあるのか、拡大傾向から2006年以来安定的に推移、最近は若干ではあるものの赤字縮小傾向につながっている。
米国は20年前のプラザ合意でもドル安誘導策によって貿易赤字の縮小を果たしており、前回は日本がターゲットであったものが中国というしたたかな国を相手にしていることから、人民元のフォーカスした発言が続いているものの結果は対欧州通貨を中心としてのドル安につながっている。
欧州は歴史的にも自国通貨が強く推移することを望んでおり、基軸通貨たる米ドル安を懸念はするものの自国通貨が弱含んで推移することを望まないことから、現時点ではドル安に対して大きな声を上げていない。
今後もこの状態が続くものと思われるが、ドル安があまりにも行き過ぎた場合世界経済に対する影響度合いが大きくなる為、介入などを通してのドル安防衛策と取る可能性は非常に低く、現実問題として強いドルを表明している米国が今更ドル安を懸念しているといったとしても相場の流れに棹を差す形にはならないのではないか。
また実効性のあるドル安回避策についても未だ噂すら聞かない(噂で聞けばかなり広まっている証拠だが)事から当面は現状が続く可能性が高いものと思われる。
米国のドル安放置は欧州からの強い懸念によってのみ転換するものと思われ欧州要人の発言を特に気をつけるべきである。